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細胞検査

細胞検査は悪性細胞の検出を目的に採取した細胞を顕微鏡により検査します。腫瘍の良悪の判定や早期がんの発見に役立ちます。また、良性異型細胞等の判定も行い、治療効果、再発の有無などの臨床に有効な情報の提供を行います。

検査の流れ

  • 1受付

    検体と依頼書を照合して、依頼情報を確認し、採番します。

  • 2標本作製

    検体をスライドガラスに塗抹して標本を作製します。各材料や状態に合わせた方法で処理します。

  • 3染色

    パパニコロウ染色を行います。必要に応じてギムザ染色やパス染色を行います。

  • 4細胞診判定

    細胞検査士が標本を顕微鏡で観察します。がん細胞などの異常が見つかれば、細胞診専門医が最終的な判定を行います。

検査の種類

細胞検査(婦人科材料)

材料 検査方法 所要日数
子宮膣部、頸部、内膜 パパニコロウ染色 3~6日

検体の取り扱い

提出方法 湿固定標本1枚(保存:室温) 液状検体 専用容器にて提出
固定方法 スプレー固定液
採取時の注意事項 塗抹後直ちに固定する。乾燥厳禁

細胞検査(その他材料)

材料 検査方法 所要日数
喀痰、気管支洗浄液、尿、体腔液、乳腺、甲状腺、各種穿刺材料、胆汁、膵液、髄液、他 パパニコロウ染色、他 3~6日

検体の取り扱い

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材料 提出方法 固定方法 採取時の注意事項
呼吸器材料 喀痰 湿固定標本 2枚(保存:室温)
もしくは専用容器
スプレー固定液 2枚のスライドガラスの間に挟み、2から3回摺り合わせ拡げる
気管支擦過 湿固定標本 2枚(保存:室温) スプレー固定液 塗抹後直ちに固定
気管支洗浄液 湿固定標本 2枚(保存:室温)
もしくは専用容器
スプレー固定液 塗抹後直ちに固定
集細胞法 蓄痰専用容器(固定液入り)(保存:室温) 容器内の固定液による湿固定 早朝痰を3日連続採取する
液状検体 尿・胸水・腹水など 湿固定標本 2枚
乾燥固定標本 1枚(保存:室温) もしくは専用容器
スプレー固定液
乾燥固定:塗抹後急速冷風乾燥
1500rpm遠心後、直ちに塗抹、固定
髄液は特に変性が早いので採取後直ちに標本作製を行って下さい。
穿刺吸引検体 乳腺・甲状腺・関節など 湿固定標本 2枚
乾燥固定標本 1枚(保存:室温) もしくは専用容器
スプレー固定液
乾燥固定:塗抹後急速冷風乾燥
塗抹後直ちに固定
捺印標本 リンパ節・腫瘍など 湿固定標本 2枚
乾燥固定標本 1枚(保存:室温)
スプレー固定液
乾燥固定:塗抹後急速冷風乾燥
塗抹後直ちに固定
圧挫標本 腫瘍・脳組織など 湿固定標本 2枚
乾燥固定標本 1枚(保存:室温)
スプレー固定液
乾燥固定:塗抹後急速冷風乾燥
2枚のスライドガラスの間に検査材料を挟み圧挫後、直ちに固定
検体依頼時のお願い
  • 塗抹・固定作業は検体採取後迅速に
    細胞検査を行う上で最も大切なことは、良好な標本作製です。
    新鮮な材料を目的に沿って素早く塗抹・固定しなければ、細胞は変性・膨化し、正確な判定が妨げられてしまいます。
  • アルコール固定標本提出時の注意
    湿固定はスプレー固定が基本となりますが、95%アルコール固定でも可能です。
    95%アルコールで固定された場合、提出時にはスプレー固定液をかけて塗抹面を保護してご提出下さい。
  • 依頼情報の明記
    依頼書には性別、年齢、採取部位(材料名)、臨床所見(婦人科の場合は最終月経も)を明記してください。
    これらはスクリーニング時や判定に欠かせない情報です。ご協力をお願い致します。

検査結果

ベセスダ判定 (従来のクラス分類(日母分類)とベセスダシステム 2001 準拠表記の対応表)

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扁平上皮系

ベセスダシステム結果 ベセスダシステム略語 推定される病変 従来のクラス分類 英語表記 運用
標本の適否 適正 適正   判定可能    
不適正 See below 判定不能 再検査
細胞診判定 陰性 NILM 非腫瘍性所見、炎症、微生物 Ⅰ、Ⅱ Negative for intraepithelial lesion or malignancy 異常なし:定期検査
意義不明な異型扁平上皮細胞 ASCーUS 軽度扁平上皮内病変疑い ⅡーⅢa Atypical squamous cells of undetermined significance
(ASCーUS)
要精密検査:
  • HPV検査による判定が望ましい
    陰性:1年後に細胞診、HPV併用検査
    陽性:コルポ、生検
  • HPV検査非施行 6ヵ月以内細胞診検査
HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 ASCーH 高度扁平上皮内病変疑い Ⅲaーb Atypical squamous cellscannot exclude HSIL (ASCーH) 要精密検査:コルポ、生検
軽度扁平上皮内病変 LSIL HPV感染
軽度異形成
Ⅲa Low grade squamous intraepithelial lesion
高度扁平上皮内病変 HSIL 中等度異形成
高度異形成
上皮内癌
Ⅲa
Ⅲb
High grade squamous intraepithelial lesion
扁平上皮癌 SCC 扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma

腺細胞系

ベセスダシステム結果 ベセスダシステム略語 推定される病変 従来のクラス分類 英語表記 運用
細胞診判定 異型腺細胞 AGC 腺異型または腺癌疑い Atypical glandular cells 要精密検査:コルポ、生検、頸管および内膜細胞診または組織診
特定不能な異型腺細胞 AGC-NOS 特定不能な異型腺細胞 Ⅲa Atypical glandular cells not otherwise specified
腫瘍性を示唆する異型腺細胞 AGC-favor neoplastic 腫瘍性を示唆する異型腺細胞 Ⅲb Atypical glandular cells favor neoplastic Adenocarcinoma in situ
上皮内腺癌 AIS 上皮内癌 Adenocarcinoma in situ
腺癌 Adenocarcinoma 腺癌 Adenocarcinoma
その他の悪性腫瘍 Other malig その他の悪性腫瘍 Other malignant neoplasms 要精密検査:病変検索

その他の細胞診及び子宮内膜細胞診の判定

その他 子宮内膜 判定内容
クラスⅠ 陰 性【Negative】 正常
クラスⅡ 良性異型
クラスⅡR 良性異型であるが 再検を希望
クラスⅢa 疑陽性【Suspicious】 境界病変
クラスⅢ
クラスⅢb
クラスⅣ 陽 性【Positive】 悪性を強く疑う
クラスⅤ 悪性

喀痰集細胞法の判定基準と指導区分

判定 細胞所見 指導区分
A 喀痰中に組織球を認めない 材料不適、再検査
B 正常上皮細胞のみ
基底細胞増生
軽度異型扁平上皮細胞
線毛円柱上皮細胞
現在異常を認めない。次回定期検査
C 中等異型度扁平上皮細胞
核の増大や濃染を伴う円柱上皮
程度に応じて6ヶ月以内の追加検査と追跡
D 高度(境界)異型扁平上皮細胞または悪性腫瘍の疑いある細胞を認める ただちに精密検査
E 悪性腫瘍細胞を認める

(日本肺癌学会:肺癌細胞診判定基準改訂委員会)

  • 個々の細胞の判定ではなく、喀痰1検体の全標本に関する総合判定である。
  • 全標本上の細胞異型の最も高度な部分によって判定するが、異型細胞少数例では再検査を考慮する。
  • 扁平上皮細胞の異型度の判定は異型扁平上皮細胞の判定基準写真を参照して行う。
  • 再検査とは検体が喀痰でない場合に再度検査を行うことを意味する。
  • 追加検査とはC判定の場合に喀痰検査を追加して行うことを意味する。
  • 再検査や追加検査が困難な時には、次回定期検査の受診を勧める。
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